交通事故における後遺障害の逸失利益

交通事故

1 後遺障害による逸失利益とは

 交通事故でけがをして後遺障害と認定された場合、その後遺障害がなければ将来得られたであろう利益のことを「逸失利益」といいます。

 逸失利益は、交通事故前の収入を基礎として(これを「基礎収入」といいます。)、後遺障害による労働能力の低下の程度(これを「労働能力喪失率」といいます。)、労働能力を喪失する期間、中間利息の控除などを考慮して算定します。

 

2 労働能力喪失率について

 労働能力喪失率とは、後遺障害による労働能力の低下の程度を表すもので、後遺障害の等級に応じて、一定の目安が定められています。例えば、後遺障害等級が1級~3級の場合は100%、後遺障害等級7級の場合は56%、後遺障害等級10級の場合は27%、後遺障害等級12級の場合は14%、後遺障害等級14級の場合は5%などとなっています。

 

3 労働能力喪失期間について

 労働能力喪失期間とは、後遺障害によって労働能力が低下する期間をいいます。労働能力喪失期間の始期は、症状固定日が原則になります。被害者が子どもなどの未就労者の場合には、原則18歳(大学卒業を前提とする場合には大学卒業時)が始期となります。

 労働能力喪失期間の終期は、原則として67歳とされています。症状固定時に67歳を超えている場合には、簡易生命表の平均余命の2分の1を労働能力喪失期間とするのが一般的です。

 もっとも、労働能力喪失期間は、必ずしも画一的なものではなく、職種、地位、健康状態、能力等によって異なった判断がなされることもあります。また、いわゆる「むちうち」の場合には、後遺障害等級12級で10年程度、後遺障害等級14級で5年程度とされるケースが多いです。

 

4 中間利息控除について

 逸失利益の算定にあたっては、通常、労働能力喪失期間の中間利息を控除します。中間利息の控除にあたっては、ライプニッツ係数という係数が使われることが多いです。中間利息控除に用いる利率は、民法の改正により、令和2年4月1日以降3年内に発生した交通事故については年3%、令和2年3月31日以前に発生した交通事故については年5%となります。

 

5 逸失利益の具体的な計算方法

 逸失利益は、基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数、によって計算します。

 例えば、令和2年4月1日以降に発生した交通事故で、症状固定時45歳、基礎収入が500万円、労働能力喪失率が14%(後遺障害等級12級)の場合、500万円×14%×15.9369(ライプニッツ係数)=1115万5830円、となります。

 

6 後遺障害の逸失利益のご相談は弁護士法人心へ

 交通事故の後遺障害の逸失利益は、認定される後遺障害等級、基礎収入の算定、労働能力喪失期間等によって、得られる賠償額が大きく変わります。そのため、より多くの事案を扱っている弁護士に相談した方が適切な対応を期待できます。

 弁護士法人心は、交通事故担当チームが数多くの交通事故案件を扱っており、後遺障害の逸失利益に関しても、膨大な知識・経験・ノウハウがあります。

 交通事故の後遺障害でお困りの方は,ぜひ弁護士法人心までご相談ください。

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